北米留学上級技術マニュアル - 合格通知が届いたら
目次
進学先を選ぶ↑
幸いにして2校以上から合格通知がきたら、どの大学に進むかを決めなければならない。志望校研究の過程で集めた資料をもう一度検討して、慎重に決断をくだそう。その過程で、志望先との交渉が必要になることも勿論ある。
合格通知に返事を書く↑
まず必要なのが、「確かに入学します。」という受諾(または、辞退)の手紙、次いでdeposit(前払金)の支払である。(期限を守って納付しないと入学をキャンセルされることがある。)もしその大学に行く気がないなら、断わりの手紙を出すのが礼儀である。あなたが辞退すれば補欠入学できる人がいるかもしれないから、必要もないのに長々と待たせてはいけない。
また、入学時期を延期(defer)してほしい場合は、その旨の依頼の手紙を書く。秋学期入学の許可が届いたが夏期講習から参加して単位を稼ぎ始めたい場合は、やはりその希望を伝える必要がある。
さて、入学意思の確認は、財政援助の審査結果や他校からの返事が来るまで待ってもよい。「すでに〜大学からは入学許可が出たが、そちらはどうなっていますか。」と問い合わせをしても一向にさしつかえない。しかし、本命校の結果通知がいつまでたっても届かず、第二志望校のdepositの締切が間近に迫ってきた、というような場合、目をつぶってdepositを払ってしまうのもやむをえない。(金額は、せいぜい200ドルぐらいまで。日本のような法外な入学金はとられない。)ただし、その後で入学を辞退することに決めたなら、直ちに先方に知らせるのは当然である。
入学許可受諾の手紙例 ↑
I am pleased to inform you that I will be joining you as a new MA student this fall. I am excited about my academic life at 〜, and I look forward to seeing you in September.
入学許可辞退の手紙例 ↑
I regret to inform you that I am unable to join you this fall as an MA student. Although I found your program very strong and attractive, I decided to go to 〜 because it is more suited to my long-term academic goals. Thank you for your time and your consideration of my application.
家庭の事情、その他で予定を変更する必要が生じた場合、すぐに連絡するのが礼儀である。緊急なら、ファックスを送った上、同文の手紙を追って郵送するのが本式。入学時期を遅らせる(defer)というのはよくあるが、過去には逆に入学時期を一学期早めてもらった人もいたそうである。
推薦人に連絡する↑
「おかげさまで〜校から入学許可が届きました。〜月から入学します。」というお礼のご挨拶をしておくのが、大人のたしなみでしょう。こうして礼儀を尽くしておくと、次回も推薦を快くひきうけてもらえる(だろう)。残念ながら不合格に終わった時も、やはり結果はお知らせしておくべきである。
英文健康診断書を提出する↑
レントゲン写真やツベルクリン反応など、大学によって報告しなければならない項目が多少異なる。いずれにせよ、億劫がらずに英語で診断書を書いてくれる医者を見つけなくてはならない。診断書の記入用紙は、大学から送られてくる。
主治医に相談↑
持病をお持ちの方は、渡航前に主治医に相談して外国での療養対策をたてておかれた方がよかろう。とはいっても、現地の病院に専門医がいるかなど、行ってみないと正確にはつかみにくい情報も多い。とりあえず、病歴や診断結果、これまでとった治療法などを記した英文のカルテを日本にいる間に書いてもらって持参すると、現地で医者に会った時に話が早い。レントゲン写真などは原版ごともらって持っていくという手もある。(最近はデジタル化されているそうだが。)自分の病名やこれまでとった治療法/投薬を英語で何というか、などの情報も仕入れておかれたい。
現地の住居の手配をする↑
現地の知り合いが責任をもっていいアパートを探してくれるというのでもない限り、単身留学者は最初は学生寮に入ってようすをみるのが無難であろう。現地についてからアパートを探していたのでは、精神的な負担も過剰である。家族連れのための簡易アパートを準備している大学もある。学生寮も、いい部屋は早く一杯になるので、入学を決めたら、なるべく早く申し込んだ方が安心である。
もっとも、寮は狭くて住み心地がよくない上、必ずしもアパートにくらべて経済的とも限らない。寮の便利さ(大学に近い、食堂がそばにあって3食出してくれる、ケーブルテレビ契約がついてくる、大学のメーンフレームに簡単にアクセスできる、大学内や近距離の電話は大抵タダ、など)から離れられない、というのでなければ、しばらくして慣れてからアパートに出ることを考えてもよかろう。
冷房設備のない寮もまだたくさんあるので、暑い土地の寮に夏期入寮するなら冷房の有無を確認しておかれた方がよかろう。
因に、学生町の民間アパートは一年契約ということが多い。つまり、たとえ半年しか住まなくても一年分の家賃を支払わなければならないわけである。夏の間他所に出てしまう人は、よく部屋をsublease(また貸し、といっても大家の了承をとってやる)に出すが、夏は受給バランスが借り手に有利になるから、月あたりのsublease賃が学期中の半分近くにまで下がってしまうことも稀ではない。その差額は、もちろん一年契約をした借り主が負担することになる。
大学寮の食事はまずい↑
日本での食生活に慣れた方なら、田舎の州立大学の学生寮食堂の食事は「まずい」と覚悟しておかれた方が無難だろう。概して英米圏の食事はまずいというが、学生食堂はその極致かもしれない。
朝食ならトーストやオートミールと目玉やき、フルーツジュース、コーヒーぐらいの献立だからさしてボロがでないが、昼食や夕食のように「おかず」が出てくると話にならない。その原因には諸説あって、アメリカのプロテスタント文化では現世の感覚的快楽を追及することを罪悪視する伝統が残っているからだとか(この説はフランス人の留学生から聞いたが、それにしては北米のセックス関連産業の隆盛はどうであろう)、アングロサクソン/ドイツ/ノルマン系の人種はもともとラテン系や東洋人にくらべて味覚細胞の数が少なく味に鈍感なのだとか(この説は医学部予科の学生から聞いた)、あの値段ではしかたがないのだとか、田舎街の大学の学生食堂は地元独占企業の請負なので経営努力をしていないのだとか、解釈がさまざまにわかれるところである。
最後の説に多少の信憑性を感じるのは、同じ学生食堂でもある程度の規模の都市にある有名私立リベラルアーツカレッジの食事は決してまずくないからである。値段も他校に比べてべらぼうに高いわけではない。(もっとも、そういう名門校に通うお金持ちの子息令嬢は、大抵「まずい、まずい」を連発しながら食べている。一方、その傍に座った筆者(当時、新任の教員)は美味に感激していた──だから「アングロサクソン総味盲説/東洋人総グルメ説」はアヤしいのである。)また、筆者が1987年に訪れた、ミネアポリスにあるミネソタ大学の寮の食堂も、夏休みにも関わらずかなりの美味であった。とはいえ、筆者個人の乏しい経験だけではデータの偏りがあるので、読者のご意見もお寄せいただけたらありがたい。
味は別として、北米圏の学生食堂の食事に肉類が多いことは確かである。肉が続くと胃腸に応える方は、整腸剤を常用なさった方がよかろう。経験的にいって整腸剤には相性があるようなので、自分の体質にあったものを選んだ方がよかろう。
なお、大学によっては学生食堂で一学期に1〜2度、特別な「ごちそう」(ロブスターなど)をディナーに出すことがある。値段は普段と同じなので、中には寮に住んでいないのにその時だけ食券を買って食堂で食事をしていた学生もいた。(食堂の献立はたいてい事前に発表されている。)
逆に、まずい学生食堂の食事がさらにまずくなるのが休みの直前である。この時期になると食堂は手持ちの材料を使い切ろうと古くてしなびたサラダを「これでもか、これでもか」としつこく出してくる。特に学生が寮を離れはじめると利用者数がどんどん少なくなるのでますます手抜きが露骨になり、最後には夕食でもhot meal(文字どおり、ステーキやマッシュポテトなどの「暖かい」食事)を出さなくなる。それでも料金は普段と同じなのだから、考えてみれば不公平な話である。学生も心得たもので、この時期になると頻繁に友人とともに外食したりする。
「留学生寮」はない↑
日本の大学では、留学生の福利厚生は日本人学生と別のところから予算が出るのを反映して留学生専用の寮を設けていることがある。一方、アメリカの大学ではこのように国籍等で居住施設を分けるという発想がないので、入寮すればほぼ確実にアメリカ人学生たちと同じ建物に住むことになる。
Con- vs. Com-↑
学生寮とアパートの選択にみられるとおり、限られた費用の範囲内で生計をたてようとすると便利さ(convenience)と快適さ(comfortability)はしばしば二項対立する選択肢となる。このどちらをどの程度重視するかによって、その人のライフスタイルがある程度決まってくるように思う。筆者の場合はほとんどconvenience一辺倒の暮らしだったが、comfortabilityは就職してから追求できるので別に後悔はしていない。(とはいえ、毎月あと百ドルだけ余分に使えたらもう少し精神的に余裕のある暮らしができたような気はしている。)
出国までの手続き↑
- パスポートをとる
- 留学ビザを手にいれる
- 航空券の手配
- Frequency Flier's Club に入る
- 到着日を大学にしらせる(空港 まで迎えに来てくれる場合あり)
- 住居を手配する
- 持っていく荷物、別便で送る荷物を決める
- 必要なものを買いそろえる
- 荷造りする
- 留学地の担当日本領事館の連絡先を調べておく
パスポート↑
現在パスポートを持っていない人が申請して交付を受けないといけないことはいうまでもないが、既にパスポートを持っている人も、有効期限を確かめていただきたい。残り期間が短ければ、早めに更新しておいた方があとで楽である。(パスポートの有効期限が残り6ヵ月以下だと、入国させてくれない国が多い。なお、いったん入国した後は、ビザさえ有効ならパスポートが切れた後も引き続き外国に滞留すること自体は違法ではない。)
外国滞在中もパスポートを更新することが可能だが、最寄りの日本政府領事館まで出向かねばならない。田舎の大学町に滞留している間にパスポートの期限が切れると、領事館のある都市まで飛行機に乗って泊りがけで出かけねばならないことすらあって、大変な時間と費用の浪費になる。今からとるなら、やはり10年有効のパスポートが得策だろう。
なお、パスポートをもらったら、万一紛失した時の用心に、すぐに番号を控えるとともに全ページのコピーをとり、数ヵ所に記録を残しておかれたい。(空白のページのコピーもとることをお忘れなく──そのページが空白だという情報も大事なのである。)
期限切れパスポートの再利用方法↑
パスポートを更新する時は、古いパスポートを領事館や外務省の出張所に持参しなければならない。新しいパスポートをもらう時、古いパスポートには「無効」をあらわす穴をあけた上で返却してもらえる。この古いパスポートというのが、実は小切手を切ったり現金化したりする時の身分証明書として非常に便利なのである。
なぜか?──現地について早々は当該州の運転免許や身分証明書ももっていない。大学発行の学生証は身分証明書として認めてくれない店もある。その点、国家発行のパスポートなら完璧である。(北米圏外に旅行する時も米加の運転免許が身分証明書として使えるとは限らない。)とはいっても、現在有効のパスポートを買い物のたびに提示して、万が一紛失でもしたらおおごとである。こういう時は、なくしても困らない古いパスポートを提示するのが一番だ。万が一「現在有効なパスポートをみせてくれ」といわれたら、懐中に保管していた新しいパスポートをおもむろにとりだせばいいのであるが、筆者はこれまでそういう文句を言われたことは一度もない。
なお、期限切れのパスポートといってもそこに現在有効なビザが載っている場合、新しいパスポートと同様に大事に扱わなければいけないことはいうまでもない。
ビザ↑
アメリカの大学に留学する場合、大学からI-94という書類が届くまで待たれたい。この書類が、学生ビザの基礎となる。間違っても、「観光ビザで入国してから現地で学生ビザに切り替えよう」などと思わないように。アメリカ国内でビザを切り替えるのは大変面倒である。国外にいる間に適切なビザを取得する方がずっと楽だ。
住民票↑
外国に行くということで住民票を抜いてしまうと、住民税が節約できるかわり、日本に帰ってきてアルバイトでもしようという場合、外国人並みの高い税率を課されることになる。社会保険なども特別な措置が必要になる。どっちが得か、よ〜く考えてからお決めください。
保険↑
アメリカについてから現地の保険に加入することもできるが、学生の場合は日本で長期の旅行保険に入った方が経済的である。健康保険のほか生命保険や盗難保険も含まれているにしては、格安な値段で契約を結ぶことができる。有名なところはAIUとISAである。
この他、クレジットカードの中には海外旅行保険契約つきのものもあるが、カバーしてくれる期間は通常、渡航日から3ヶ月程度のようである。(約款を確認のこと。)せこく節約したいなら、渡航後3ヶ月間はカードでカバーし、その後で発効するように保険会社と契約をしておくという方法もあるだろうが、カード付帯の保険でも現地滞在中に支払いが受けられるかなど、詳しい規定を検討しておかれた方がよろしかろう。
住民票と健康保険・年金↑
(執筆者募集中)
日本を離れる際に住民票を抜いておくと住民税を払わなくてすみ、節税できる。ただしその場合、国民健康保険・厚生年金・国民年金などの取り扱いをどうするかも決めなくてはならない。国民健康保険は日本国内にいない限り役にたたないから加入しなくてもいいと思う。(一時帰国する際には、その時だけ旅行保険に入ればよい---この場合はもちろん、日本が「旅先」になる。)厚生年金と国民年金の積み立てをどうするかは、何年後に帰国する予定か、あるいは海外に永住するつもりか、などを考慮した上で決める必要がある。
もちろん、勤務先からの派遣で留学なさる方は雇用主が継続して年金の積み立てを続けてくれるから、こんな心配をする必要はない。
ご参考までに、国民健康保険・厚生年金・国民年金の所轄官庁はいずれも社会保険庁である。
節税対策↑
現在すでにはたらいていていったん被扶養者の資格を放棄なさった方は、出国の前にご両親の被扶養者に戻るように手続きをしておくと、ご両親の所得税が大幅に控除される。(被扶養者は扶養者と同居していなくてもかまわない。日本国内でフルタイムの仕事をしていないのが条件である。)
日本の銀行口座↑
あり金を全部ドルにかえて留学先に持って行くことも可能だが、残高は小額でもいいから日本の銀行に円建ての預金口座を残しておくと、便利なことがある。まず、渡航後為替相場が急激に動いて(あるいは動くことが予想されて)、手持ちのドルを円に戻しておいた方がいいと判断した場合、北米の銀行から日本の銀行口座あてに送金できる(もっとも、送金だけが目的なら、振込先は自分名義の口座でなくとも構わないが)。
また、一時帰国した際、多額の現金を持ち歩くのがいやなら、預金口座にいったん手持ちの円をあずけておいて必要なだけキャッシュカードで引き出すことも可能である。
例えばあなたの故郷は北海道だが、成田空港経由で帰国してそのついでに東京で数日過ごす、というような場合にも、ご家族に頼んでその間必要な費用を日本の銀行口座に振り込んでおいてもらうことができる。
運転免許↑
あなたの免許証の有効期限があと2年以内で切れるなら、公安委員会または運転試験場へ行って特例更新してもらうことができる。特例更新した免許は通常の更新より短い2年しか有効期間がないが、外国滞在中に免許が失効するのが困るなら、この手しかない。(ただし、外国滞在中に失効してもその後最初に帰国した時にすぐ手続きをすれば、無条件で新しい免許を交付してもらえる。とはいえ、長期間にわたり免許を保持していると免許の有効期間を長くしてもらえたり自動車保険が安くなったりという特典があるから、できるだけ有効期間内に更新した方が得策ではある。)
せっかく公安委員会まで足を運ぶなら、国際免許証もとっておこう。法律的には日本の免許証でアメリカでも運転できることになっているが、北米の警官が日本語で書かれた免許証を識別できる確率は殆ど天文学的な低さである。現地で余計な面倒を避けたいのなら、国際免許証を持っていくに越したことはない。国際免許証の期限は発効後1年である。当然ながら、現地に到着する日から発効するようにしてもらえれば最大限に使えるわけだから、申請する時にその旨を窓口で頼んでみるとよかろう。
国際学生証↑
現在日本の中学・高校・大学・専門/専修学校本科に持っている人なら、国際学生証が取得できる。持っているとヨーロッパでは重宝するらしいが、北米では役に立った記憶がほとんどない。渡米して留学先の大学から学生証をもらえるまでの期間のために千数百円を投資する価値があるかどうかは、次のサイトを見て各自ご判断いただいたい。
http://isic.univcoop.or.jp/
国際学生証の陰に隠れてあまり知られていないが、同じサイトには「青年」(26歳未満)、「教師」を対象とした身分証明書の情報も載っている。中学や高校の先生を休職して留学したいという方などには耳寄り情報かも?
小切手を作る↑
無一文で現地に乗り込むわけにもいかない。ある程度の金額は現地ドルで持っていかねば着いたその日から生活に困る。(日本円をそのまま持って出ると、換金が面倒。)一番よく使われるのが、ドルだての旅行者小切手(traveller's check = TC)を持っていく方法である。小切手を作る際、額面の1〜1.5%ぐらいの手数料をとられる。主要な都市銀行ならほとんどどこでも自行だての旅行者小切手を発行しているが、できれば北米の金融機関発行(例えばCity Bank; Bank of America)の小切手を持って行った方が面倒が少ない。travellerユs checkを購入したら、すぐに(銀行を出る前に)サインをするとともに番号をひかえておこう。(一連番号が一枚一枚についている。)
数千ドル単位の換金なら、 certified checkという送金目的専用の小切手を作ってもらうこともできる。 Certified checkの利点は額面に関わらず一枚あたり一定の手数料をはらえば作ってくれるところである。したがって、額面が大きくなればなるほど、 certified checkの方が有利になる。ただし、空港などで買い物をした時に certified checkで支払をするわけにはいかないし、万一紛失でもしたら、再発行に手間どる。(traveller's checkの場合は、番号さえひかえておけば、割合簡単に再発行してくれる。)
クレジットカード↑
たとえ絶対カードに頼らない主義の人でも、カードを持っているだけで小切手の現金化やホテルの予約、レンタカーの借り受けの際などに計り知れない恩恵がある。最終的には支払いは現金でするにしても、カードが一種の担保になるわけである。万が一現地で現金を使い果たした時、とりあえずカードで支払って後は日本のご家族にお願いするという手もある。日本の本屋から緊急注文する際も、カードがあればたいへん便利である。
アメリカで無収入の学生の身分になってしまうとなかなか認可がおりないこともある。(特に外国人には厳しい。筆者の場合、大学院生時代はgraduate assistantという「非常勤大学職員」の資格により漸く交付してもらった月額使用制限500ドルのビザカード一枚で凌いでいた。)、日本にいる間にカードを作っておこう。今お勤めのある方は、勤めを辞める前に作っておけば審査が通りやすい。特に国家公務員やそれに準ずる立場(国立大学法人の職員など)の方は在職中に共済組合を通じてクレジットカードを作っておくと、退職後を含め生涯にわたって会費無料でカードを保有できる。私立大学の教職員も私学共済を通じて無料のカードが作れる。成田・羽田をはじめ、国内主要空港の休憩ラウンジがただで使える(ソフトドリンクやスナック、雑誌新聞閲覧、インターネット接続などのサービスあり)という特典もある。たとえ今いるポジションが年次契約の職であっても、申し込みのチャンスはある。作っておかない手は無い。
それでは、どんなカードを作ったらいいだろうか。JCBカードはハワイ以外では使いにくい。アメリカン・エクスプレスは、意外に使い道が限られている。ダイナースも取り扱ってくれない店が多い。マスター、ビザなら全米どこでも使える。とはいっても両者は微妙に通用範囲が異なるので、両方一枚ずつ作っておくのが得策。さらにこの両者のうちどちらか一方だけということになれば、北米圏ではビザの方がわずかに使用範囲が広いような気がする。逆に無料カードが作れる立場にあるなら各種一枚ずつゲットしておくのも一案だろう。
なお、留学先に落ち着いて現地の銀行などが発行するクレジットカードを入手すれば日本で入手したカードはなくてもいいような気がするが、会費無料のカードなら全部解約してしまわずに少なくとも一枚ぐらいはキープし、カードで支払った分が引き落とされることになっている日本の銀行口座も残しておかれてはいかがであろうか。インターネット経由で物品やソフトウエア・オンライン書籍等を購入する場合など、会社によっては特定の国で発行されたクレジットカード以外は使えないことになっているからである(たとえばiTune Store)。
逆にアメリカの大学を卒業して日本に帰ることになった場合も、同じことがいえる。日本で発行されたクレジットカードでは、iTune Storeのアメリカ店舗からオンラインブックなどを購入することができない。
虫歯治療↑
アメリカでは、通常の健康保険は歯科治療をカバーしない。自費で歯医者にかかったら、目の玉がとびでるほどの治療費を請求される。日本にいる間に虫歯を根治しておくにこしたことはない。もし遅かれ早かれ抜かないといけない親知らずがあれば、日本にいる間に抜歯しておいた方が後の面倒が防げる。(特に長期留学になる可能性のある方。)概していうと若いころに抜歯しておいた方が措置が簡単だそうである。
ただし、歯列矯正の技術は、北米の方がずっと進んでいるそうである。留学を機会に口元を美しく整えたいなら、大金払っても投資価値はあるかも(?)
社会人留学の心得↑
退職を申し出るには↑
現在の勤め先を辞して留学しようという場合、当然ながらきちんと事情を説明して退職手続きをとる必要がある。普通は直近の上司にわけを話してからその上の管理権限者や人事担当者に伝えてもらうものだが、このあたりは職場によってもそれぞれ慣習が異なるだろう。
退職前後の手続きの進め方については本もいろいろ出ている。筆者の場合、その種の本を手にしているところを同じ職場の人間に見られてあれこれ噂されるのが嫌だったので、もっぱら『とらば〜ゆ』(リクルート社)という女性向けの転職情報誌の特集記事を参考にしていた。通勤カバンの中に『とらば〜ゆ』が入っているのに気づいた同僚の女子社員から「変なヤツ!」というような顔をされたことはあったが、さすがにこれが自身の退職の準備だとは気づかれなかったようである。(作戦成功)
挨拶状↑
会社派遣、あるいは休職しての留学ならもちろんだが、勤めを辞して留学するにしても、以前の勤め先の人たちやお世話になった取り引き先の方たちへのご挨拶はしっかりしておくのが社会人としての常識であろう。昔なら縦書きのハガキが定番だったが、今では個人的な連絡にはメールを使ってもおかしくはないと思う。次の退職の挨拶の文例をご覧いただきたい。やや言い回しが硬いのは、ハガキを想定しているためもある。
退職の挨拶の葉書の文例 ↑
時下益々御清祥のこととお慶び申し上げます。 さて、私儀、このたび東洋商事を円満退職し、今秋より米国シカゴ大学の経済学部大学院に進むこととなりました。3年にわたる貿易実務経験を通して見聞してまいりました国際分業の実態を、今後は理論経済学の立場からさらに深く考究いたす所存でございます。
在職中はひとかたならぬお世話になりましたことを御礼申し上げるとともに、今後とも旧来に倍するご鞭撻をたまわりたく、お願いもうしあげる次第です。
平成〜年葉月
この文面は渡航以前に投函するという想定で書かれているが、北米から葉書をだすことも勿論可能である。新しい住居から出した葉書の方が、もらった方も印象に残るであろう。気がむけば、渡航後最初の印象談も書き添えることができる。北米から日本に出す郵便料金は安いので、日本国内で投函するのにくらべてさしたる差はない。現地でワープロ印刷する場合、プリンターでA4紙いっぱいに大きく印刷して縮小コピーをとるのが、字質をよく見せるコツである。それをコピー店に持ち込んで紙質のいい厚紙に印刷させればよい。A4紙を縦横それぞれ2等分し4枚の紙に分割すると、ちょうど葉書として使えるサイズになる。
ただし、渡航してからそんなことをやっていると大変な手間だというのなら、日本にいる間に印刷を済ませて持参し、北米から投函することも可能であろう。(機中で宛名書きをすることもできる。)葉書を印刷する段階で渡航先での住所がまだ決まっていなければ、住所ラベルだけを渡航後に現地で印刷してはりつけるという裏技もある。
失業保険↑
任意退職して一か月すると、失業保険をもらうことが可能になる。退職したあとすぐに渡航せず、しばらく日本で準備を続けたい人には便利な制度である。(支給を受けるためには、日本国内にいなければならない。)「失業保険は本来、再就職を探している人の為の制度だから、留学することに決めている人にはあてはまらない」というスジ論もあるが、広く考えれば、留学そのものが将来よりよく自己実現できるような仕事に就くためのステップだから、再就職のための研修ともいえる。失業保険としてもらうお金はもともと自分が働いて国庫に納めたお金であるし、もらわないことにしてもその分を将来のために積み立てておくこともできないので、いただけるものはいただいて有効に生かすことを考えればいいのではないであろうか。パチンコ代に使うなどは論外だが、その分で本を買ったりして自分の頭に投資するなら、バチはあたらないと思う。支給期間中に国から(=納税者から)助けてもらった御恩は後で社会に貢献して返そう。
さらにがめつくいくなら、退職後の留学準備期間にコンピューター学校などに通って技術を伸ばし、「再就職のための研修」として国庫補助を受けることも可能だそうである。(こういう制度は筆者の時代にはなかった。)
なお、失業保険は退職したからといって自動的に支給されるものではなく、旧雇用主から必要書類をもらって職業安定所に出頭しなければならないので、一日も早く支給を受けたい人は書類事務を急ぐ必要がある。その旨は旧雇用主の人事担当者にも伝えておこう。それ以外にも職歴証明書の発行など、かつての職場の人事担当者には先々お世話になる機会が多いので、くれぐれも円満退職を心掛けたい。(筆者の場合、留学が決まって退職手続きのために人事課に顔を出した途端に顔見知りの女性課員から「おめでとうございます!」「いつ勉強したはったんですか〜?」と声をかけられて複雑な心境であった。)
[TrackBack URL]