北米留学上級技術マニュアル - 休業期間の過ごし方
目次
学期の中休みの過ごし方↑
秋学期の後半のThanksgiving breakと春学期の最中のSpring breakには、授業が休講になる。Thanksgiving はアメリカ人にとっては日本人の正月休みに匹敵する、一年で一番大事な祝日なので、先生もその前の週の後半あたりから授業を休講にしてしまうことがよくある。(なお、Native Americanの部族の多くは、Thanksgivingを祝う習慣がない。)この休みの期間は遅れ気味だった勉強で取り戻すためには格好の機会だが、その間の生活の心配もしなければならない。
キャンパスはゴーストタウン↑
学期の中休みは、外国人学生以外はほとんど構内に残らないので、キャンパスはゴーストタウンと化してしまう。夜道は余計に危険になる。また、図書館などの大学の施設も完全に閉まってしまうか、稼働時間が極端に制限されるので、事前にスケジュールを調べておかれたい。
寮が閉まってしまう↑
Undergraduate 用の寮を休みの間閉鎖して、学生を追い出してしまう大学が多い。食堂が閉まるのは言うまでもない。厳しいところでは、荷物を部屋に残しておいてもいけない。アメリカ人の学生は休みはうちへ帰ったり遊びに行ったりするから構わないのだろうが、外国人にとってはいい迷惑である。氷点下の11月のThanksgiving breakに平気で学生を追い出すのを見ていると、これはほとんど殺人予備罪ではないか、という気すらしてくる。やむなく、その間友人のうちに居候したり、大学のそばのホテルに移ったりしている学生がたくさんいた。
さすがに、大学院生専用の寮はもう少し融通がきいて、休みも部屋にいられるところが多いが、食堂で食事できない不便はつきまとう。
とにかく、寮住まいの方は休みの間の規定を調べて早目に対策を講じられたい。
Thanksgivingは 商店も閉まる↑
レストランや商店も Thanksgivingの前後は閉まってしまう。基本的に、「誰もがうちにいるべき日」なのである。必要なものは事前に買い込んでおかないと、ひもじい思いをしかねない。
教会の慈善夕食会↑
筆者は、Thanksgivingの休みに地元の教会の夕食会に招いてもらったことがある。これは、「せっかくのThanksgivingなのに行くあてもないかわいそうな人達」の為の慈善プログラムである。ホームレスの人や身寄りのないお年寄りと並んで、「うちに帰るのもままならないかわいそうな外国人学生」が招かれたわけである。会場では高校生のボランティアが連絡や案内に活躍していた。何百人もの人達に一斉に食事を振る舞うのだから、主催者側も大仕事である。ともあれ、寮から車で送迎つき、七面鳥やポテトをお腹いっぱいになるまで食べさせてもらい、帰りはパンプキン・パイのおみやげまでもらってきた。こういう情報は、学生寮や外国人学生事務局の掲示板に注意を払っているとよく見つかる。
長期の安みの過ごし方↑
夏休みと冬休みは期間が長いので、ある程度まとまったことができる。有効な利用方法のヒントは:
クリスマス滞在プログラム↑
12月の中頃から元旦過ぎまでの約2週間、行くあてのない外国人学生をあずかってもてなそうという教会主催のプログラムがある。各地域の教会が、引き受け手になる。申込手数料と現地までの交通費は自己負担だが、宿泊費や家庭での食費は無料である。受入先は全米に渡っているが、東部・中西部および南部が中心。家庭滞在と教会施設内での合宿形式の2種類があり、一長一短というところである。学生同士でわいわいやりたいなら、合宿の方が気楽かもしれない。家庭滞在の場合は、教会に所属する信者の家庭に分宿することになる。主催機関は、宗派によって次の2つがあるが、制度は非常によく似ている。
Friendship International House (FIH)
National Student Ministries
127 Ninth Avenue North
Nashville, Tennessee 37234 USA
主催:Baptist church=福音派教会
Christmas International House (CIH)
P.O.Box 764 Tucker, Georgia 30085-0764 USA
主催:Presbyterian church=長老派教会
http://www.christmasih.org/
それぞれの申込書は大学の外国人学生事務局においてあることが多いが、直接請求して送ってもらうこともできる。これらの要項には「申込書を送るのは〜月〜日以降にしてください。」と書いてあるが、これを真に受けて期日まで待っていると、Floridaのように人気のある土地はそれまでに早々と申し込んだ「フライング」組で埋まってしまっている。
また、「プログラム期間中は、全ての催しに参加すること」と要項に記載があるが、期末試験が遅くてプログラム開始に間にあわなかったり、逆に大晦日に学会で就職面接があって最後までいられないような場合でも(そういう学会が本当にある!)、事情を説明すれば柔軟に対処してくれる。ただし、こういう交渉はプログラムの元締めをしている機関とするよりは、受け入れを表明した教会側と直接する方が話が早い。
さて、短期間とはいえコミュニティーの中で暮らす経験をすると、アメリカ生活の思わぬ面を観察できる機会もある。FIHを主催するBaptist教会はFundamentalistで、概していえばCIHのPresbyterianよりも戒律が厳しいが(たとえば、Baptistは、禁酒厳禁--因みにJimmy Carter元大統領もBaptistである)、実際にはうちではビールぐらいは飲んでいる家庭もある。案外といい加減なところもあるものなのである。(もっとも、Baptist一家のご主人の前で進化論の話をしたら、露骨にいやな顔をされたが。)
「いい加減」でない話をひとつ。筆者が1990年にFloridaの医師一家宅に滞在した折は、たまたまペルシャ湾岸危機の真っ最中であった。戦争がはじまれば徴兵制が敷かれるかもしれないという危惧のもと、良心的兵役拒否を標傍する地元の教会では、緊迫した空気の中に緊急集会が開かれた。戦争中に兵役拒否を貫くことは、ある意味では戦地に赴く以上の勇気が必要とされるようである。周囲からの白眼視は当然覚悟せねばならず、中には第2次世界大戦の折り、リンチもどきの目に逢った人もいるとのこと。兵役を果たさないかわりに、開発中の医薬の実験投与を受ける役回りになる場合もある。もちろん、薬害の危険は覚悟の上である。同席させていただいた筆者にも、ことの深刻さがひしひしと伝わってきたことが思い出される。(年が明けてしばらくすると、多国籍軍がイラク領内に猛烈な空爆をはじめたのはご存じのとおり。)
なお、教会の皆さんにお世話になったお礼に、何か「隠し芸」(talent show)を披露させられる羽目になることは覚悟しておいた方がいい。「日本料理を作ってくれ。」と言われることもある。日本にいる間に、芸を磨いておいた方がいいかも?
南国みやげにオレンジを↑
「♪よく熟れたオレンジの冷たい重さは…」という軽快な歌い出しではじまる名曲「オレンジ・エアメール・スペシャル」(山川啓介作詞、久保田早紀作曲・歌唱)を聞いて日本で育った筆者は、「♪酸っぱい恋しさが心にひろがる」という一節を素直に受け取り、オレンジとは酸っぱい果物だと信じていた。
とはいっても日本にいる間はオレンジのような高価な果物はなかなか口にすることができなかったのでかわりにもっぱら夏みかんを食べていたのだが、のちに米大陸にわたり中西部イリノイ大学の学生食堂でようやく毎日好きなだけ食べられるようになったオレンジは、どれも歌のとおり甘い中に確かな酸味があった。
ところが。ある年の冬休み、旅先のFloridaで食べたオレンジの味に仰天した。樹上で完熟してから収穫した常夏の国のオレンジは、ひたすらひたすら甘い!まだ青いうちにもぎとって出荷しその後トラックの上や倉庫の中で漸く黄色くなった北部向けのオレンジとは全く違って、ちっとも酸っぱくないのである。
産地のマーケットに行けばオレンジなんてただみたいな値段で売っているが、「♪千マイルも遠くの」寒い国(カリフォルニアから中西部まではそれ以上の距離があるが)に持って帰れば一番喜ばれるお土産であること間違いない。北部からFloridaや南Californiaの「♪光降る国に」旅行なさる機会があれば、お土産には「♪気の早い真夏を抱いて帰るわ!」と現地のオレンジを買って帰られてはいかがであろうか。
ただし、外国の果物を日本に持って帰るつもりなら、しっかり検疫をすませておかないと入国時に困ることになる。結構重い上かさも大きいので、何に入れて運ぶかも考えておきたい。
夏の間に単位を稼ぐ↑
一刻も早く卒業したいなら、夏期講座に出て単位を稼ぐにこしたことはない。短期集中なので、通常の学期の間のコースよりは少し負担を軽くしてくれる先生が多い。授業料も、普段より少し安くなるのが普通である。
ただし、夏期のコースの種類は限られているので、それが卒業要件を満たすかどうか、早めに調べておくことが肝要である。課題なども概して通常の学期の授業の方が充実しているので、後になってみれば「その方が勉強になった」という思いをする場合もある。
夏はアパートに↑
普段寮暮しをしている人も、夏の間ぐらいはアパートに住んでみてはいかがであろうか。大学街の場合、夏は需給の関係からアパート代が半値以下になることも珍しくない。寮にいるよりも安上がりで、普段と違う生活が経験できる。
夏期講座で他流試合↑
「一つの大学の中だけに閉じこもらず、いろいろな大学の空気を吸ってみたい。」と思っているなら、夏休みが格好のチャンスである。他校の夏期講座に出てみよう。夏期講座はわりあいに授業料を安く設定してあるから、外部からも参加しやすい。自校と提携している大学のコースなら、さらに取りやすくなっている場合もある。授業料がいくらか、どんなコースを出すか、寮に入ることができるか、などを知るためには、とにかくお目当ての大学のSummer Session Officeに連絡をとってTime Tableを送ってもらうことである。(大抵の大学では夏期講座の管理の為に特別の部局を設けていて、時間割の管理などはそこが一括して行なう。)Summer Sessionの時間割というのはかなり早く決まるものなので、3月ごろに連絡すれば丁度よかろう。そうすれば、Mailing listに載せてくれて、印刷が仕上がり次第送ってきてくれる。もっとも最近ではこういう情報はWWWにも掲載されることが多いが、印刷物を入手しておいた方が安心ではある。
他校で取った単位を自校にtransferできるか、確認をおわすれなく!授業内容が自校のコースに相当するものかどうか確認を求められることがあるので、その場合は相手校の先生に連絡して、course syllabusを送ってもらうとよい。
夏期講座が充実している大学は、やはり万人が夏を過ごしてみたいと思うような土地に多い。
- University of Hawaii at Manoa
- University of Minnesota at Twin Cities
- University of Washington (Seattle)
- Northwestern University
などはその代表格であろう。そういう大学は概して夏期講座のTimetableもカラフルで目に楽しく、いかにも学生を他所から呼び込もうという意気込みが伝わってくる。また、HarvardやStanfordなどの有名大学も、校名にあこがれて夏の間やってくる他大学生をあてこんで夏期講習は大規模である。
ただし、高名な先生は夏は研究に専念して授業を教えない場合がほとんどである。夏期講座には学部レベル、ないしは大学院初級レベルの基礎的な科目が多いことは頭に入れておかれたい(稀に、開発途上の新しい大学院のコースを実験的に夏に出してみることがある)。また、夏期のコースは短期決戦なので評価方法も試験や短いプロジェクトが多く、長い term paperを書かされることは稀である。何かにつけ夏期のコースは通常の学期中のコースよりも内容が薄くなりやすいことは頭にとめておかれたい。
もし夏に大学院上級レベルの授業を取りたいと思うなら、学会主催の夏期特別講座を調べて見られたい。講師陣は、超一流ぞろいで、最先端の研究に接するチャンスである。こういう情報をインターネットで簡単に探すには、ブール検索ができるWebのsearch engineで、
summer physics
あるいは
summer geography
などのようにキーワードを入力するとよい。たちどころに、関連情報が引き出せる。
以下に述べるのは筆者の専攻に関連する分野の情報である。まず、Linguistics Institute of Americaが2年に1度(西暦奇数年)
- Linguistics Summer Institute (LSA)
という行事を全米の大学持ち回りでやっている。また、英語教育の分野では、Teachers of English to Speakers of OtherLanguages (TESOL)という英語教師の職能団体が毎年
- TESOL Summer Institute
という催しを開く。 University of Michigan, Ann Arborでは毎夏Inter-university Consortium for Political and Social Research(ICPSR)という機関が社会科学研究者のための統計コース
- ICPSR Summer Program in Quantitative Methods of Social Research
を開いていて、全米から参加者が来る(受講者の半分近くは現役の大学教授である)。
もし中国語やフランス語など、外国語の勉強を夏の間に集中的にやりたいのなら、合宿形式の語学研修に出ることをお勧めする。Middlebury CollegeやIndiana Universityの夏期語学集中講座がこれにあたる。University of Michigan, Ann Arborでも夏の語学講座を開いているが、合宿形式でないので、一日24時間外国語漬けとはいかない。それ以外の大学でも夏期に外国語の集中講座を出すところは多いが、大抵1年生対象のコースのみで、中〜上級向けのコースを出すところは限られている。一方、
- Summer Institute of Linguistics
は主に文字を持たない少数民族言語の研究を行なっていて夏期の海外フィールドワークもあるが、これは語学研修というより完全に言語専門家のための研究プログラムのようである。
大学によっては春学期と夏期講座の間に、1〜3週間単位の超短期の集中講義を設けることもある(例えば、University of Pennsylvania)。日頃研究に力を入れてあまり授業を教えない先生が、そういうところで埋め合わせに出てくる場合もあるから、これは大学の内情を知っている人に探りを入れてみるといい。ただしこういう集中講義は基本的にはその大学に所属している学生の為のものだから、いきなり外部から入り込むと勝手がわからず何かと戸惑うかもしれない。
単位の出ないワークショップやセミナーも、夏の間にあちこちで開かれる。成績の心配をしなくてもいい分、精神的に楽である。こういうのに現役の大学教授が参加することがよくあるから、ひょっとすると凄いbig nameと肩を並べて勉強することになるかもしれない。
北米のみならず、ヨーロッパやオーストラリアでもこういう催しが頻繁にある。例えば、西暦偶数年の7月にオーストラリアで開かれる
- Australian Linguistic Institute
期間は2週間で単位は出ないが、講師には高名な学者が集まる。大略、Linguistic Institute of Americaの豪州ミニ版と考えておけばよろしかろう(なお7月のオーストラリアは、勿論、冬の真っ最中である)。北米からわざわざオーストラリアに出かけて来てそのまま帰ってしまっては飛行機代がもったいない気もするが、ついでに南太平洋・東南アジア旅行や日本への帰国も済ませれば、なかなか面白い夏の経験にもなろう。
せっかく勉強したのに単位がとれないのは勿体ない、と思うなら、自校の教官と交渉して、「休みの間に勉強したことをまとめてレポートを書くから、independent studyの単位を出してください。」と交渉してみるといいだろう。
夏期講座の授業料を節約↑
「夏学期にindependent studyをやると、夏期講座を受講したことになって余分に授業料をはらわねばならず、勿体ない。」とお考えなら、「勉強は夏の間にしっかりやりますから、その単位を夏でなく秋学期に出してください。」と先生に交渉してみる手もある。州立大学の場合、フルタイムの学生は何単位とっても一学期あたりの授業料は一定額というところが多いから、こうした方が経費の節約になる。先生も学生が経済的に余裕がないのはわかっているから、こういう点では理解を示してくれる人が多い。ただし、学科によっては大学に協力して学生からなるべく多く授業料を納めさせるように尽力しているところもあるから、そういうところでこの話を持ち出しても望み薄であろう。
自分のテーマで勉強↑
テーマがしっかり決まっているのなら、一人で勉強するのが一番能率がいいことだってもちろんある。そういう為にも、長期の休みは有効である。また、自分が興味を持っている研究を既におこなっている先生と相談して、研究の手伝いをさせてもらうなり、テーマのヒントをもらってその指導で研究するなり、ということもできる。必ずしも自分の大学にいる必要はない。他大学の先生に頼んで短期の弟子入りをさせてもらってもいいのだが、こういう場合、(変なやつが入り込んで来て、足手まといになるのは困る)、と心配するのは人情である。母校の先生からの紹介という形にしてもらうのが安全策であろう。そういうツテがない場合、自分の研究計画をしっかりかいたプロポーザルを送って「あたって砕けろ」で直接交渉するしかない。
なお、たとえ夏の間一人で本を読むにしても、特定の分野の文献が特に豊富な大学や機関の図書館が使えるようにその街に移ることも可能である。こういう場合、母校の大学図書館に頼めば、他所の図書館が使えるように申請書などを準備してくれる(因みに、全米最大の蔵書数を誇る図書館は、もちろんWashiongton D.C.にある国会図書館である。大学図書館としてはHarvardの蔵書が全米一)。
安全低給な学内アルバイト↑
他にすることが何もないなら、アルバイトをしながらのんびり休みの生活を楽しむのもよかろう。定期的に定額の給与が支給されるassistantshipの他、一時間あたりいくらという契約で働くアルバイトの仕事もある。図書館や売店にはこういう仕事がたくさんある。自分のペースにあわせて働く時間を調整できる反面、授業料免除などの恩典はつかない。それを除いて考えると、大学内での仕事は概して極端に給与が安い。ただし、大学内で一定時間内はたらく分には労働許可の心配がいらないので、その点は楽である。
職歴を積む↑
休みの間に企業などで働いて、職務経験を積むことができる。たとえば日本語教師をめざすなら、アメリカ国内や日本の各種の語学集中研修で講師として教えることが可能である。アメリカ国内でフルタイムの仕事をする為にはしかるべき滞留資格が必要だが、学生の場合、学生ビザのままでインターンとして仕事ができる制度がある。手続きの詳細は、外国人学生事務局で相談してみられたい。
旅行↑
言うまでもなく、長期の休み、特に夏は旅行のチャンスである。
宿代をただにする↑
SERVASという国際的なボランティア団体があり、旅行者をただで家庭に泊めてくれるネットワークを形成している。
http://www.servas.org/
何十ドルかの入会金をはらって会員になると部厚い会員名簿が送られてくるので、その中で地域や時期の条件の会う他の会員に連絡して「〜月〜日に行ってもいいか」と確認をとった上で訪ねるのである。入会審査もあって、essayを書かされたり、面接があったりと、人物評価に重きをおいているようである。だんだん世の中が物騒になっているから、泊める方も神経をつかうのは仕方がないが。(会員になったからといって、必ず自分も他所からの客を泊めないといけないということもない。飽くまで、ボランティア活動である。)
こういう制度を利用する時一番大事なのは、何でも「新経験」と面白がってしまう精神である。お客様用の豪華な寝室に通してくれるホストもあれば、ベランダに折り畳みのマットレスを敷いて簡易ベッドにしてくれる家庭もある。 プールつきの豪邸もあれば、狭いアパート(といっても、日本の基準からみれば広いが)もある。どんな家庭を訪れても、「これでまた異文化社会の新しい断面を見た」と喜んで回るのが、トクする旅行法といえよう。また、こういう時こそ、日本から買って持っていったおみやげをさしあげると、その気持ちをよろこんでもらえる。(あまり高価なものは、かえって制度の趣旨に反する。) お世話になったホスト家庭には、その後なるべく早く絵はがき一枚でも礼状を出すのが、大人のたしなみというものであろう。
なお、SERVASの名簿には人種や所属団体なども記入されている場合があるので、ラテン系米人家庭→アフリカ系米人家庭→アジア系米人家庭→アラブ系米人家庭…と梯子をするような滞在計画をたてることもできる。こうするとアメリカ社会をより深く観察できるかもしれない。 SERVASの組織網は日本にもあるので、渡航前に会員になっておくことができる。(現地についてから遠くの街までわざわざ面接を受けにいくのは面倒。)さらに、北米圏外へ旅行する時も、SERVASのネットワークが利用できる。
余談ながら、筆者が1990年の夏にSERVASに入会した折り北米圏の会員名簿を通覧した時の印象ではAmnesty InternationalやGreen Peace、Siera Clubのメンバーが 目立ち、アメリカ人の平均よりは組成がリベラル側に傾いているような気がした(とは言っても、もちろんAmnesty International of USAは左翼団体ではないし---そう思っている人もいるらしいが---「圧力団体」としての影響力を保持するために民主党、共和党双方の党大会に代表を送っている)。
最後に、ヒッチハイクは当今、乗る方も乗せる方もかなりの危険を覚悟する必要がある(ヒッチハイクを禁止している州もある。)貧乏族には、Greyhound Linesのバスが手ごろな移動手段であろうが、何人かでまとまって旅行するなら、レンタカーを借りた方が安い場合もある(車があると、スーパーなどで材料を買いこんで自炊することが可能なので、食費もかなり節約できる)。
偏見多き「いい人達」↑
筆者も1989年の冬に首都ワシントンに旅した際は、こういう篤志団体の一つを利用して近郊のご家庭に泊めていただいた。数十年前にナチスの支配を逃れてアメリカに渡ってきた東欧系移民の母娘家庭で、お嬢さんの方はかつて共和党の某上院議員のスタッフを勤めていたのだそうである。
ここのお宅に滞在中にたっぷり聞かされたのが民主党リベラル派、ケネディ一族、ホームレス、少数民族の悪口。いかに辛辣であるにせよ事実にもとづいた批判ならまだしも、しばしば明らかな事実誤認にもとづいて滔々と自説を開陳するのだから始末に負えない。この母娘のいうところでは、当時寒風吹きすさぶワシントン市の路上いたるところにいたホームレスは「仕事をするのが嫌な怠け者達の集まりだから、手助けしようとするのは無駄だ」という宣告であった。しかし実際にはそのころシェルターに入ることを拒否して氷点下の路上で寝泊りしていたアメリカのホームレスには戦争後遺症に苛まれ心を病んだベトナム戦争の帰還兵などが多く含まれており、いわば社会の病根の反映ともいえる。それを個人のモラルの問題だけに還元してしまうのは問題回避に他ならない---というぐらいのことは門外漢のオレでも知っているゾ!(ただしその場では筆者も反論するだけの論拠がなく、後になってから資料を調べて確認した。)それもミーちゃんハーちゃんではなく、与党の国会議員の元スタッフがこの程度の認識とは…。とりわけベトナム戦争という、どちらかといえば保守派(広い意味での)が推進した戦争の帰還兵に対して共和党保守ブロックのシンパが冷たい対応をしていることに、なにやらうそ寒いものを感じた。
こういう偏見多き人が見るからに「嫌な奴」であればこちらも相手を嫌いになってさっさとお別れし、後はさばさばしてもいられよう。ところがこの母娘というのが、おいしいスープをたっぷり作ってごちそうしてくれる、市内観光の見所は丁寧に教えてくれる、大雪の中を危険をおして長距離バスの駅まで車で送ってくれる(実際、凍結した街路の路上で車がスリップして一回転し、もし後続車があれば大事故になるところであった)と、実に実に「いい人」たちなのでこちらとしても本当に困ってしまうのである。
海外旅行↑
大西洋は狭い。Boston-Parisの直線距離は、Boston-Los Angelesと大差なく、Boston-Honoluluよりも短い。米欧間の大西洋線は多くの航空会社が就航していて競争が激しく、米国内旅行並みのねだんで往復航空券が手に入る。北米からカリブ・中南米やエジプトへもかなり安く行くことが可能である。せっかく北米に滞在しているなら、その間に外国旅行することを考えてみられてはいかがであろうか。
ただし、最近では日本からもメチャメチャに安い海外旅行ツアーや往復航空券が出ているから、値段を比較してみることをお忘れなく。
交換レートは現金よりTCの方がお得↑
たとえば北米からヨーロッパ各国に旅行する際、米ドルのtraveller's checkを持って行って現地通貨に交換するとTC発行費用が損になるので米ドル札を持っていった方がいいような気がする。しかし実際には、現金よりTCの方が少し得なレートで交換してくれる場合が多い。したがって、必ずしも現金を持参する方が得とは限らない。多額の現金を持ち歩いて盗まれた場合の危険などを考えると、用途に応じてTCを有効利用すべきであろう。
I-20を忘れずに↑
留学生ビザ(F-1)でアメリカに滞在している者が国外に出る時は、必ずForm I-20という書類を持って出ないといけない(所属大学の外国人学生事務局で準備してくれる)。これがないと、アメリカにもどってくることができない。何も長期の帰国でなくても、例えばナイアガラの滝を見物に行ってついでに1〜2時間だけカナダ側に足を踏み入れてみた、というような場合でも、I-20がないと最悪の場合再入国する際に国境で足止めされるから、注意が肝要である。
I-20はその日に事務局へ行ってすぐに発行してくれるものではないから、早めに申し込んでおこう。緊急に出国しなければいけない場合、国外の連絡先を事務局に知らせて後でI-20を郵送してもらうという手もあるが、これはあくまで「奥の手」である。
帰国の機会を利用して↑
せっかく日本に帰るなら、できることを全部まとめてやってしまおう。よく日本から戻ってきてから「しまった、あれをやるのを忘れていた!」とほぞをかむことがある。(実は筆者はそういう夢をしょっちゅう見るのである。トホホ…)
To-Do Listを作る↑
これを防ぐ為には常日頃、次回帰国した際にすべきことをメモしておくとよろしかろう。多くの人が一時帰国の際に行なう、ごく一般的なことだけ列挙すると、
- 本屋に行って本を買い込む
- 母校を訪ねて近況報告する
- 友人と会う
- 北米で手に入りにくい生活必需品をまとめて買う(日本製の電気髭剃り器の替刃など)
- 日本のお土産品を買う
- 衣類を持って帰る
- 運転免許を更新する
- 国際免許をとる
- 学会に出る
- 就職活動をする
- 同じ分野の研究者を訪ねる
- 名刺を作る(最近では北米でも日本語入りの名刺を作ってくれる店があるが、かなり割高である)
パスポートの更新↑
パスポートの失効が近づいていたら、更新しておく(パスポートの更新は海外の領事館でもできるが、近くに領事館がないと飛行機に乗って遠出しなければいけなくなる)。因みに、もしどうしても海外滞在中にパスポートの更新をしなければいけなくなったら、現有のパスポートが失効する前に手続きを済ませよう。さもないと領事館に2度も出頭しないといけなくなって、ますます面倒だからである。
運転免許の更新↑
帰国したら、日本の運転免許を更新しておかれたい(特例更新した免許の期限は2年)。長期間外国滞在していて免許の期限がきれていた場合でも、その間一度も帰国したことがないことが証明できれば、無条件で新しい免許証を再交付してくれる(ただし失効後3年以内の場合)。ところが、たとえ短期でも一時帰国した時に更新しておかないと、「日本国内にいながら書き換えをしなかった。」ことになって、その次に帰国した際、再交付が非常に面倒になる。
なお、現在有効のパスポートを取得する以前に運転免許が失効した人は、古いパスポートも公安委員会に持参されたい。そうしないと「免許が切れたあと一度も帰国していない」ことの証明ができないからである。(ついでながら、前回日本を出た時の出国記録のあるパスポートは例え失効していても持参した方が、日本到着時の入国審査もスムーズに済む。)さらに、失効した免許を再交付してもらう際、外国で取得した運転免許を持参すれば、日本で新たに再交付を受けた免許が初心者扱いとならず、日本国内で運転する時に車に若葉マークをつけないですむ。
さて、せっかく公安委員会に出向くならついでに新しい国際免許証も出してもらおう。両方一日で済ますためには、朝早くからでかけた方がいい。国際免許証の発効日は希望によって調整してもらえるから、日本を出る日に発効するようにしてもらうとよかろう。
学会発表↑
将来日本で就職したいと考えておられるのなら、帰国したついでに学会に出て人脈を築いておくのもよかろう。その席で研究発表ができればそれに越したことはない。こういう日本の学会の情報も、最近ではインターネット経由で簡単に手に入る。帰国のついでに就職面接までできれば、願ったりかなったりである。
「研究成果はまだまとまっていない、でも何か発表したい」という方には、現役留学生の立場を活かしたとっておきのネタがある。将来留学を目指している人達を対象に、「北米大学事情説明会+留学相談会」を発表として行なうのである。こういうトピックで発表させてくれるかはそれぞれの学会次第だが、真剣に留学を志している人にとって留学経験者と話す機会はまたとない情報収集のチャンスだから、人助けになること間違いない。こういう発表は旬のネタと臨場感が大切だから、写真・動画や音声録音を効果的に取り入れると盛り上がると思う。
旅行↑
旅行がお好きなら、帰国の前後に中国、韓国、香港など、近隣諸国に寄ってみることもできる。追加の航空料金はわずかなものである。例えば帰国のついでに台湾に行ってみたい場合、中華航空の「北米→台北」の往復航空券を購入してその途上で日本に立ち寄る、という形にした方が料金が安い場合もある。ただし、個人でホテルに泊まると通常料金を払わないといけないので、日本から格安ツアーに参加するのとトータルでどちらが安いか、比較してみられた方がよかろう。
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