北米留学上級技術マニュアル - 英語を聞く工夫
目次
- 集中力の壁
- 「隙間の時間」に聞き取り練習
- テレビ、ビデオは 有効な投資
- 映画で学ぶ英語
- 英語学習のためにお勧めの番組
- The Newshour
- Crossfire
- Democrat/Republican Convention
- Presidential Debate
- スピーチのデータベース
- Miss America Pageant
- Discovery Channel/PBS (Public Broadcasting)
- 聴講科目で聞き取りの練習
- 専門分野の講演/講義録音
- 口元に注目
- RとLの聞き分けができる!
集中力の壁↑
筆者の渡米後最初の学期は、授業に出ていると5分間集中するのがやっとであった。それ以上経過すると、頭が英語を受けつけなくなって他のこと(晩飯のメニューとか)を考えはじめてしまう。しばらく経って、ふと我にかえって「これではならじ」と必死でノートをとりはじめるがまた集中力が切れ…ということを繰り返していた。ところが、滞在が長くなるにつれてこの5分間が10分になり、15分になり、と段々に長期間の集中が可能になってくる。こういう総合的な英語処理能力というのは短期の練習で飛躍的に向上させることが困難なので、とにかく大量に英語のシャワーを浴び続ける以外に対策はないようである。逆にいえば、そういう英語漬けの状況を自然に作れることが、外国にやってくる語学学習上の大きなメリットの一つでもあろう。なお、アルコールが入ると聞き取りの力はいっぺんにダウンするので、よほど自信がある方でない限り大事なレクチャーの前などは慎んだ方がいい。
「隙間の時間」に聞き取り練習↑
CDといえば音楽ソフトだけが注目され勝ちだが、実はそれ意外のソフトも豊富である。たとえばアメリカでは各種の書籍を音声化した(オーディオブック)CDが出回っている。こういったソフトは格好の聞き取り教材になる。これを機会にiPodなどの携帯デジタル再生機を購入しファイルを取り込めば、電車の中やスポーツジムのトレーニングルームなどで聞き取り練習に励むには格好の教材となる。いずれにせよ、内容に興味の持てる素材を選んだ方が、「聞いてやろう」という意欲もわくだろう。
英語書籍を音声化したファイルもアメリカのiTuneサイトで販売しているのだが、残念ながら日本からは有料ファイルをダウンロードできない設定になっている。なお、オーディオブックのダウンロード販売に特化したサービスとして、次のようなサイトもある。
http://www.audible.com/
おすすめオーディオブックを紹介したブログもある。
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/audio_book/
ただしブログ主の専門分野の関係上、経済学・経営学と自己啓発関係が大半である。
携帯デジタル機器用に現在出回っているファイルの主流はやや特殊なフォーマットなのでICレコーダーでは再生できないが、mp3ファイルなら汎用性が高いので大抵の機器が対応している。
テレビ、ビデオは 有効な投資↑
テレビが部屋にあると勉強の邪魔になると敬遠なさる向きもあるが、聞き取りの力をつけるためには、テレビは有効な道具である。休みの日など、一日中テレビの前にすわって頭の中を完全に英語漬けにしてしまうのも、早く英語に慣れる方法として有効であろう。「テレビだと、わからないところがあっても確認できない。」と不満なら、ビデオプレーヤーを買って納得いくまで見直し/聞き直しもできる。
さらに徹底的にやりたいなら、聴覚障害者向けに開発されたキャプション・デコーダーをとりつければ、せりふの書き下しを画面上で確認もできる。(音声と字幕の喰い違いを見つけるのも結構楽しい。)デコーダーを内蔵したテレビも出回りつつあるようである。なお、映画などの番組だと音声より先に字幕が出てしまうのでついついそれを先に読んでしまい、あとから耳で確認するということになりがちである。生放送のニュース番組なら逆に音声が出てから字幕があらわれるから、聞き取りの練習にはより効果的かもしれない。
映画で学ぶ英語↑
今では日本の大学の英語の授業でも映画を教材にとりいれるところが随分あるようであるが、個人でも同じことができる。せっかくなら自分の好きな映画を選んで楽しみながら学びたいものである。
映画館では英語が聞き取りにくい↑
同じ映画でも、映画館でみるよりは自宅でビデオを見た方がずっと聞き取りやすいような気がする。映画館の音響設備は、言語音の聞き分けには却って不利にはたらくのかもしれない。もちろんノイズの中でもきちんと聞き取りができることが高度な言語能力の一つの証拠でもあるのだが、理解できるインプットを大量に浴びることが当面優先すべき課題であるならば、迫力は犠牲にしてもビデオやDVDを借りて自室で見た方が有効な場合が多いようである。
長谷川滋利投手の英語勉強法↑
長谷川滋利投手は渡米前、アナハイム・エンジェルス入団に備えてケビン・コストナー主演の野球オカルト映画"Field of Dreams"を12回見たそうで、これはまことに理にかなった学習方法ということができる。
フィールド・オブ・ドリームス
同投手は精進の甲斐あって英語勉強法の本まで出すようになったのはご存知のとおり。
長谷川滋利(2001)「メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法」
DVDとシナリオ本で学習効果アップ↑
なお、例えばWoody Allen監督の映画は多くがビデオ化されている他、Transcriptも本になって出版されているので、台詞を確実に文字で確認することができる。(Amazon.comのデータベースなどで調べてみるとよい。)稀に脚本と実際の映画の台詞が食い違っていることがあるが、それを見つけるのも結構おもしろいものである。米国人の友人の話では、Woody Allenの映画は場所柄をはばかるようなスラングがあまりなく、洗練された上品な言い回しが多いので、知識人(?)向けの英語学習教材としては格好なのだそうである。"Annie Hall"の英語表現などは、丸暗記してもいいほど素晴しいんだと。
Four films of Woody Allen
Three films of Woody Allen
Hannah and her sisters
一方、アクション映画やウエスタンのようにせりふよりも活劇シーンの方が多いものは、対時間効率という点からいうと語学学習教材としては考えものであろう。もっとも、DVDを使えば余計な部分をどんどん飛ばしてみることができる。とはいえ、概してその種の映画で一番おもしろいのが活劇シーンであるのも事実である。
外国で買ったソフトを視聴するには↑
ご存知のとおりDVDにはリージョナルコードというものがあって、アメリカで買ったDVDを日本に持って帰ってもドライバーと合致しないため再生できないような場合がある。技術的には別の理由だが、オーストラリア製のビデオテープを日本に持ち帰ってもやはり映像方式が違うので再生できない。
ところが秋葉原などの専門店にいくと、こういう壁を越えて世界中のどの国のソフトでも再生してしまえる機器が売られている(通販でも買える)。違法なものならおおっぴらに販売はできないので、恐らく法的には問題ないのだろう。ともあれ、実際問題としてそういった商品が出回っていることは事実である。
なお、日本で買ったPCをアメリカに持参する場合、ドライバー指定のリージョナルコードをソフト的に変更することによりアメリカ仕様のDVDを見ることができるそうである。(ただし、逆に日本のDVDは見られなくなる。)
http://arena.nikkeibp.co.jp/qa/parts/20030513/104637/
http://www.dvd.co.jp/situ/situ_worlddvd.htm
英語学習のためにお勧めの番組↑
最初早口ことばのように響いたCBSやCNNのニュースも、慣れると自然に何をいっているかわかるようになってくるから不思議である。そういった番組に触れる機会を増やすことは常識として、ここでは主にアカデミックないしプロフェッショナルな場面で使われる語法・話術を学ぶために特に有効と思われる番組をご紹介しよう。(インターネットで見られるものもあるから、調べてみられるとよかろう。)
The Newshour↑
いかにも渋そうな中年紳士のJim Lehrerがホストとして、各分野の専門家にインタビューするという硬派の政治番組。アメリカにしては珍しく一つのニュースを深く掘り下げるので、通常のニュース番組より突っ込んだ知識を得たいという人には必見である。専門家がじっくり話すという形式なので出てくる専門用語などのレベルも高い。視聴者に占める知識人の比率も高いようである。とはいえホストのLehrerは教養のありそうな落ち着いた話し方で聞き取りやすいので、難しい政治などの話題を仕込むとっかかりとしては最適だろう。
http://www.pbs.org/newshour/
なお、Noam Chomskyは
「この番組に登場する専門家は、ジャーナリストを除くと過半が現/元政府関係者で、所詮体制側の言い分を伝えているに過ぎない。」
と例によって悪態をついている。「それがどうした?」と言われたらおしまいだが。
Crossfire↑
ガチガチの保守派とゴリゴリのリベラルがレギュラー出演し、ゲストを交えて舌戦をかわすという趣向の討論番組(というか、ショーというか)である。とっさに相手に反論するための言い回しなど参考になるところはあるが、相手の発言中に割って入るなどルール違反もしょっちゅうで、「お手本」になる話し方とはいいがたい。(はっきり言って品が悪い。)ともあれ、現代アメリカで容認される「右」と「左」の幅がどの程度かを知る上でも参考になる。
Democrat/Republican Convention↑
大統領選挙のある年(西暦で4の倍数の年─オリンピックのある年と一致する)、予備選挙を経た民主・共和両党がそれぞれ党を代表する候補者を正式に指名し11月の本選挙に備えて気勢をあげる決起集会である。両党の大会の順番は現役大統領を擁する党が「後攻」、つまり挑戦者側の党が先に大会を開いて戦端を開き、次いで現与党側が受けて立つという運びになっている。どちらもここでの盛り上がりがそのまま大統領選挙の序盤戦での支持率に直結するので、とりわけ練りに練ったスピーチが聞ける。英語の弁論の芸術=雄弁術(oratory)を学ぶ上ではまたとない教材といえる。
先代ブッシュの大逆転↑
党大会は最終日の夜に副大統領候補・大統領候補がそれぞれ指名受諾演説を行なっておひらきとなる。1988年の大統領選挙では、前評判は「死に体」といわれていたGeorge Bush Sr.候補が共和党大会の名スピーチで息をふきかえし、ついに本選挙で逆転勝利を飾った。民主党公認の対立候補Michael Dukakisとの政見の違いを際立たせるために、対立点ごとに
"he says 'no', "I say 'yes'"、
"he says 'yes', "I say 'no'"
など簡潔な言い回しで畳み掛けたくだりや、
"My friends, I am that person."
と大統領職への意気込みを見せる最後の盛り上がりはとりわけ見事だったと思う。(Bushのスピーチを書いた30台の女性speech writerもこれで一躍有名になった。)
達人達の競演↑
さらに、党大会はその年の党指名候補以外の政治家にとっても、いいスピーチをして全国に名を売る千載一遇のチャンスである。中でも有名なのが1984年の民主党大会でWalter Mondaleの応援演説を行なったニューヨーク州知事Mario Cuomoで、それを見た全国の民主党員が「今年負けたら、4年後はCuomoを候補に立てて戦おう」と思ったそうである。(この年、共和党現職でスピーチの達人のRonald Reaganに挑戦した民主党の指名候補がおよそ迫力のないWalter Mondaleだったので、余計にCuomoが輝いてみえたのであろう。)筆者もCuomoの1992年の応援演説を聞いたことがあるが、英語をあたかも魔法の杖のように使いこなし、まさに"mesmerizing"という感じであった。
スピーチのお手本↑
もっとも、Reagan(役者)、Jackson(宣教師)、Cuomo(演説家)、Clinton(弁護士)などの話し方はいかにも話芸の「巧さ」が際立つ弁舌のプロという感じで、普通の人間が普段からあんな話し方をしていたらちょっと異様である。ことによってはかえって警戒されかねない。素人にとってのお手本としてはむしろ、Collin Powell前国務長官の渋い話し方を研究なさることをお勧めしたい。淡々とした語り口で時に軽いユーモアをまじえながらじわっと人を説得する話術の見事さは、現在のアメリカ保守政界のナンバーワンではないかと思う。研究発表などなさる時も、ああいう話し方ができれば好感をもたれること間違いない。もっとも国務長官に就任してからは政権を代表して自分の信念に反することを言わなければならない板挟みからか、かつての冴えがなくなっていたが、今後別の形で活躍していただきたいと切に願っている。
これらの各氏にくらべると日本の政治家の演説はまるっきりパンチがないが、これは政治家個人の資質というより現代口語日本語がそもそも雄弁術に不向きな言語だからではないであろうか。
かといって筆者は日本語を卑下しているわけではない。桂米朝の古典落語や巨人阪神のしゃべくり漫才に匹敵する磨き抜かれた渋い話芸は、英語圏には存在しないと思う。ウソだ思ったら、David Letterman Showなど英語圏の人気トーク番組をみるとよい。
レクチャーのお手本↑
一方講演や授業については、Albert Goreの民主党大統領候補指名受諾演説(2000年)が一つのモデルになる。理路整然と組み立てられた話は実にノートが取りやすく、大学の先生がみんなこういう授業をしてくれれば学生は楽だろうと思うぐらいである。
指名受諾演説といえば普通は冒頭で"I accept the nomination."というものだが、この時のGoreの演説は現状分析→対策の提示→決意表明と順を追って展開し、中盤に至ってようやく「この使命を果たすために私は…」と受諾を表明するという特異なものだった。確かに論理的ではあるのだが「つかみ」という点では物足りないと感じる向きもあろう。当時のBill Clinton大統領にくらべるとGoreに華がないと言われる理由は、このあたりのあまりにも理に落ちた話し方にもあるのかもしれない。
Presidential Debate↑
民主・共和両党の大統領候補と副大統領候補がそれぞれ舌戦をかわす。「ディベート」とはいっても本格的なディベートのルールにしたがって個々の論点を掘り下げるわけではないので、議論の勝負がその場でつくことはほとんどなく、むしろ印象点が大事なようである。ともあれ、このテレビ中継を見て候補者の人物判断をするという有権者が多いので、当然両候補は入念な準備をする。短時間で印象に残る話し方を学ぶ上では、やはり参考になろう。双方にとって勝敗の分かれ目となる真剣勝負だけに、時としては修羅場と化すこともある。
1988年の副大統領候補ディベートでは、経験不足を問われた共和党のDan Quayleが、疑念を払拭するため大統領就任時のJ. F. Kennedyの経歴をひきあいに出したところ、民主党の古参 Loyd Bentsenはすかさず
"I knew Jack Kennedy. I served with him. Jack Kennedy was a friend of mine."
とキャリアの違いを誇示した上("serve"はここでは軍歴をほのめかしているのではあるまいか?)、
"You are no Jack Kennedy."
と決めつけた。思わず我を失ったQuayleが
"That was really uncalled for!"
と叫ぶと、
"You are the one who made this comparison."
とBentsenからさらに追い打ちを喰らう。この時のイメージダウンで、Quayleはほとんど政治生命を失うほどのダメージを被った。この時の悪評はその12年後、西暦2000年の大統領選挙に向けてQuayleが共和党の指名を目指した時にも癒えていなかったようで、結局緒戦で敗退してしまった。副大統領経験者としては屈辱的な結果といえる。
共和党陣営の選挙参謀も当然そのことは警戒し、うかつにKennedyに触れないようにとQuayleにアドバイスしていたはずなのだが、大舞台でその地雷原に敢えて踏み込んでしまった軽率さこそ、Quayleの最大の弱点だったとはいえまいか。
スピーチのデータベース↑
ありがたいことには、こういう政治家のスピーチのうち主なものはビデオファイルとしてC-SPANのデータベースに収められており、無料でダウンロードできる。スピーチのキーワード検索も可能である。
http://www.c-span.org/
Miss America Pageant ↑
「ミスコンなんて容姿さえキレイならどんなアホ娘でも勝てる」と思っている貴女/貴男、一度この番組をごらんください。予選を勝ち抜いた各州代表の美女を後半戦で待っているのが、意地の悪い質問の山。しかも、どんな質問が出るかは直前まで全く知らされず、本番で質問を受けてその場で即座に手短かに答えさせられるから、緊張感はすさまじいものがある。(あれにくらべたら、博士論文審査の口頭試問の方がずっとラクだと思う。)
それにもかかわらずおしなべてcleverな答えをする人が多いので、万事純真で女性を理想化する傾向のある筆者は最初「世の中にはホントに才色兼備の女の人がたくさんいるのだなぁ」と素直に感激していた。しかし、あまりにも上手な答えかたをする候補が多い反面、ダメな候補はこれまたかわいそうなぐらいボロボロになってしまうのを目にして、次には「主催者側が勝たせたい候補に問題を洩らしているのではないか?」と疑ってしまった。
結局、ミスコン番組のマニアで事情通の城佳子先生(Swarthmore College)に教えていただいたところによれば、あの業界にはどんな質問が出るかを予想する専門家がいて、その予想問題をめぐって各候補は本番前に懸命の準備をしているのだそうである。そこで準備を怠った候補や運悪く予想外の質問にぶつかった候補は、本番であえなく討ち死にする公算が大である。
ともあれ、「銃砲規制についてどう思うか。」とか「大統領夫人はどうイメージ・チェンジしたらいいと思うか。」なんて難しい質問に10〜20秒で答えるなんてホントはムリである。審査員側もそのことはわかっているのか、なまじこみいった答えをするより、イエスかノーか、とにかくずばっと割り切った答えをする方が審査を通過する可能性が高い。(「州ごとにスケジュールを定めながら20〜30年ぐらいかけて、段階的に銃砲規制を進めるべきだ。」なんていう答えは、どっちつかずだと思われてダメ。)よく考えるとつじつまのあわないような意見を口走っても、その場で追い打ちの質問が来ることがないのだけは、学位論文の口頭試問より楽といえるかもしれない。それでも答えようのない質問は、うまくいなす技術も必要だ。
その調子で現実の政治や経済運営をされたらおおごとだが、とにかくアメリカではどういう話し方が好ましいとされるのかを知るためには、一見の価値があろう──この国では、女が美しくあるためには雄々しくふるまわねばならないのである。
余談ながら、ミスコンに質疑応答がとりいれられるようになったのは
「容貌だけで人間を等級づけするのはけしからん!」
という批判に対して
「そんなことはありません。我々は知性や人柄も含めて総合評価しているのです。」
といういいわけ(?)をするためだそうである。
もっともこれにも批判があって、
「足が速いことや歌がうまいことがそれぞれ競技会で顕賞され、手や脚やお尻や髪のきれいな人にそれぞれ「手タレ」「脚タレ」「尻タレ」「髪タレ」としてコマーシャル出演のお呼びがかかるのと同じようにして、容貌が優れていることも一つのプラスの特性として単純にそれだけで評価して賞を出せばよい。それに『知性』だの『人柄』だのを持ち出すことこそ偽善である。美人コンテストを差別だというのは、オリンピックが身体虚弱者に対する差別だというようなこじつけだ。美女コンテストだけやるのが女性差別だというなら、美男コンテストもやれば男女公平になる。」
という論もある。筆者は、どちらかというとこの意見の方に理があるように思う。
むしろ、男性のビューティーコンテストでは既婚・未婚の区別をしないのに女性の場合だけ「ミス」に限っていることをこそ差別としてとりあげるべきではあるまいか。(ついでにと言っては何だが、30台、40台、50台…と、既婚未婚を問わず各年代ごとにおきれいな方がずらりと一堂に会した艶姿も拝見したい…と、これは完全に筆者の個人的趣味である。)
とはいえ実際問題として、ミス・アメリカに選ばれた女性はその後一年間チャリティーイベントなど各種の催しに出席しマスコミのインタビューを受けることもしばしばなので、あんまりアホなことを口走られたら困る、ということはあろう。というとまた「ミスコンの優勝者が催し物にしゃしゃり出ること自体がけしからん」という反論も可能で、議論は延々と続く。(これとは少し話がずれるが、かつて雑誌『ペントハウス』にヌード写真を載せたというカドで、一度授与されたミス・アメリカ位を剥奪されたクイーンがいた。)
ミスターコンテスト↑
筆者がイリノイ大学の大学院生寮に寄宿していたころ、真向かいのundergraduate dormitoryでは毎年恒例のミスターコンテストが行なわれていた。本選の翌朝に食堂で筆者の向かいの席にすわった女子学生が興奮覚めやらぬ面持ちで、「今年は海兵隊予科のかっこいいおにいちゃんが選ばれれたのよ!」と教えてくれたので、「それじゃ寮のミスコンもあるのか?」と尋ねたところ、フェミニスト運動家の反対によりミスコン(だけ)は廃止されたとのこと。うぅむ。
Discovery Channel/PBS (Public Broadcasting)↑
Discovery Channelはドキュメンタリー専門局、PBSは教育番組専門局である。概してニュースよりはこういう局の番組の方が言葉遣いや構成が大学の授業に近く、アカデミックな英語力を身につける上では有効だと思う。休みの日に何もすることがなければ、朝から晩までDiscovery Channel(日本でも見られる)をつけっぱなしにしておくのも一案であろう。歴史、考古学、人類学、心理学、動物学、天文学、軍事…と実に広範な分野をカバーしていて内容はそれぞれおもしろいし実写映像も興味深く、見続けるとかなりの物知りになれる。
聴講科目で聞き取りの練習↑
1週間に12時間分授業を受けているとしても、24×7=168時間のトータル時間から見れば短いものとも言える。聞き取りの力をつける為に長時間英語漬けになる必要を感じるのなら、他の科目を聴講して英語に接する時間を増やすのも手であろう。
その際、できるだけまとまった講義をしてくれる(つまり、授業をしっかり聞いているだけで話の脈絡がつかめる)先生の授業に出ることをお勧めする。先生によっては文献をしっかり読んでこないと全く脈絡のわからないような授業をする人もいる。英語の練習の為に余分に出ているクラスのreadingまではとても手が回るまい。
聞き取りの練習が目的なら、内容的に親しみのあるコースにすることも肝要であろう(場合によっては、大学院生が学部生向けの授業を聴講しても構わないと思う)。日本で既に勉強した内容をあらためて英語で聞くのも、聞き取りの力をつける上では非常に有効である。
学問的にも、それが結構いい復習や知識拡充になったりする。北米圏では、分野によっては標準教科書が数年に一度改訂されその度に新しい知見がとりいれられるので、少し分野がずれると大学院生の知らないことを1年生が習うのも珍しいことではない。それでなくても大学院生はとかく考えがタコツボ的になりやすいから、時には初級向けの概論に出て広い視野を再認識するのが研究の肥やしになりうる---もちろん、優秀な大学院生にはteaching assistantとして初級概論コースを教えるチャンスが回ってくることもある。
専門分野の講演/講義録音↑
日本にいる間に専門分野の講演/講義録音を入手しておくと、最高の聴解練習教材になる。その分野の専門家が来日して学会で講演するような機会があれば、何はさておいても駆けつけて、できれば録音をとらせてもらおう。
たとえ初回である程度理解できたつもりでも、何度か聞き直してさらに理解を深めよう。そういう場合、漫然と聞き流すより、いろいろなノートの取り方を試してみるなどして飽きがこないように工夫しよう。
口元に注目↑
話し手の口元を注視していると聞き取りがしやすい、といった経験をなさった方はいないだろうか。単なる気のせいかと思いきや、実は音声の聞き取りに視覚刺激も関与しているという現象は「マクガーク効果」として心理言語学界で広く認知されているのである。そのため視覚刺激(口の形)と聴覚刺激(音)が食い違っていると、全く違う音に聞こえてしまうことすらある。(実際に体験したければ、下に掲げる『英語リスニング科学的上達法』添付のCD-ROMを試してみられたい。)
したがって逆に耳から聞こえる音と合致した口の形を目にすれば、聞き取りにプラスになると期待できよう。この効果を聞き取りに応用したければ、まず話している相手の口元から目をそらさないことである。映画やテレビを見る際も、口元を大映しにしているものの方が学習効果が高いことになる。
もっとも、最終的には耳からだけで聞き取りができるようにならないといけないわけだが、最初はできるだけ多くの情報を駆使して英語の音に慣れるのが先決だろう。
RとLの聞き分けができる!↑
RとL、BとVなど、日本人が苦手とする子音の聞き取りをマスターできるコンピューター教材がある。
また、言語学や言語教育学を専攻する方なら音声学に関する基本的な知識を画像データつきで学べる教材としてもお薦めできる。
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