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北米留学上級技術マニュアル - 「普通の国」


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ハワイで見たもの、見なかったもの

 真珠湾の湾底には日本軍機に空爆された(1941年12月)戦艦アリゾナが今でも沈んでおり、その場所を船で訪れるツアーがあってハワイ屈指の観光名所となっている。船に乗る前にはきっちり、当時の状況を(アメリカの立場から)描いた解説映画を見せられることになっている。つまりアメリカの側からみた六十余年前の「被害」はしっかり国費で知らしめているのである。
 一方、それからさらに五十年ほど前にアメリカからの入植者による「クーデター」という形でハワイ王国を倒し(1893年1月)、ついで合衆国に併合した(1898年8月)ことについて同じぐらいの費用をかけて啓蒙しているかというとそういうことはない。(先住民文化を記録展示したビショップ博物館は民間団体である。)
 後年オーストラリアの首都・キャンベラの国立博物館を訪れた時も、日本軍による攻撃については大きなスペースを充てて展示していたが、白人入植者による先住民迫害について同じぐらい熱心に啓蒙しているかというと、やはりそんなことはなかった。

「普通の 国」って

 アメリカやオーストラリアは筆者が自分で足を運んで確認したが、「被害についてはしっかり、加害についてはあっさり」というのはこの二カ国に限ったことではなく、人種や体制の如何を問わず他の多くの国にも共通の「国際慣行」であり、それに則るのが「普通の 国」というもののようである。
 聞くところではドイツは第二次世界大戦中の「加害」教育(少なくともユダヤ人迫害については)に力を入れている方らしいが、だからといって「被害」の方を無視しているかというと必ずしもそういうわけではなく、大戦末期のソ連軍の残虐行為については戦後間もなくソ連を訪れたアデナウアー首相が正面切って指摘している。最近では、ポーランドによるドイツ系住民への迫害など、長らくタブー視されていた歴史のページにも言及しているらしい。
 かたや日本は「被害についてしっかり語らない」と一方から責められ、「加害についてしっかり語らない」と他方から責められている。もし「被害についてもあっさり、加害についてもあっさり」というような国が本当にあるとすれば、世界史の上でもかなり稀な存在といえよう。「普通の 国」になるって、いいこと?悪いこと?



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